サバイバル、取材、練習量…メジャーキャンプは日本とどう違う?
すでに始まっている開幕メジャー25人枠への過酷な競争
多ければ70人を超える選手をメジャーキャンプに招待する球団もいるメジャーリーグ。日本のように最初から1軍、2軍に振り分けるのではなく、開幕メジャー25人枠に入る見込みのない選手は、キャンプが進むにつれ、どんどん振り落とされていく形式である。
25人枠入りを目指し、全員が同じスタートラインに立っているかと言えばそうでもない。それは各選手が付ける背番号、ロッカーの位置でもそれぞれの立場を見ることができる。
開幕メジャーが濃厚な選手の背番号は、比較的若い数字。それに比べて、キャンプ招待やメジャー選手とのプレー経験を得るために呼ばれた選手の背番号は、70番台や80番台をつけていることが多い。キャンプ招待でも若い番号を与えられる選手はチャンスがあると考えて良いかもしれない。
ロッカーの配置を見ても、契約社会の有り様が見えてくる。必ずとは言えないが、主力選手の両隣には、比較的早い段階でメジャーキャンプから落とされると予想される選手が置かれている。クラブハウスのスタッフも、主力にはよりスペースを使ってもらい、気持ち良くフィールド外の時間を過ごしてもらうことを望むのである。最終的に多額のチップを払ってくれる選手の環境を整えることを優先するのである(注:チップとはサービスに対して感謝の気持ちを現金で払うもの)。
もちろん、物理的な要因も存在する。主力選手や注目選手にはキャンプ中からメディアが集まり、インタビューの依頼も多い。メジャーでは、選手たちの空間であるクラブハウスに時間制限はあるものの、メディアも出入り自由なのである。
日本のキャンプに参加した時に「ぶら下がり」という用語を初めて聞いたが、アメリカのキャンプに慣れている身としては非常に新鮮だった。よくニュースでも見受けられる、選手が練習場から宿舎へ戻るときにメディアを引き連れるシーンは、メジャーのキャンプでは見ることはないだろう。