外国人選手の苦悩…日本人選手がMLBが経験するカルチャーショックとは?

「オフ」の過ごし方が適応の鍵に?

 球場で過ごす時間が多いメジャーリーガーではあるが、シーズン中最も重要なのは「オフ」の過ごし方かもしれない。オンとオフの切り替えが重要だとよく言われるが、例えば日本にいれば、お風呂に浸かったり、友人と食事に行ったり、ストレス解消方法の選択肢はさまざま。やりたいことが多すぎて時間が足りないに違いない。

 しかし、米国には大きな体をしっかりと休められる浴槽などなく、心の底から楽しむことができる友人も少ない。むしろ時間を持て余してしまう場面が数多くある。野球という「仕事」をするために、そして自身の挑戦のために海外へ渡り、多額な年俸をもらうのであれば仕方がないという見方もあるかもしれない。ただ、この問題は万人共通。どれだけ高額の受け入れ体制が整っていても、誰しも慣れない環境へ行けば、普段の生活やオフの過ごし方に悩み、そこにストレスを感じれば自然とパフォーマンスも落ちてしまう。

「ベースボール」は世界共通の言語とはよく言われる。それでも国によって細かな決まりがあり、そこには暗黙のルールも存在する。球団、監督が変わるだけで1つの投球や打撃に求められる真意が変わる。それが国を越えるとなれば…皆さんも想像できるのではないか。選手には大きな戸惑いが出る。

 フィールド上での様々な苦悩は当然のこと。その苦悩を打ち破らない限り「勝てない」ことは、周りがとやかく言うより、本人たちが一番理解している。そして何より彼らはそれを打破できるレベルに達したプロでもあるはずだ。しかしながら、フィールドを出れば一人で仕事に来た普通の「外国人」であることを理解してほしい。

 コンフォート・ゾーン(慣れ親しんだ環境)を捨て、海外へチャレンジする外国人選手がいることで、我々の世界が広がる。成功・失敗と結果だけで評価するのではなく、彼らが経験する苦悩や文化の違いを少しでも理解し、サポートする側もそれを支え、今後もより多くのアスリートが世界を目指せる環境作りに徹していければと思う。

【了】

(記事提供:パ・リーグ インサイト

新川諒●文

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