可能性広がる日本、競争激化する米国、変化する球界&MLBへの就職事情
「たまたま」を引き寄せるために
私は力不足に過ぎなかったが、今やネットワークを持ち、秀でる一芸があっても野球界で仕事を得られない時代になってきている。メジャーリーグで仕事を得るには何が必要なのか、その舞台を目指す全員にとって永遠の課題だろう。
ウィンターミーティングは代理人や球団関係者がシーズン後に1つの場に集い、さまざまな契約交渉がおこなわれる場として知られるが、その一方では野球界を目指す者にとって戦場の側面も持つ。MILB(マイナーリーグ・ベースボール)が運営する就職フェアには何百人と集まり、その部屋へのドアが開くと同時に全員が雪崩れこむ。そんな風景を目の当たりにした時は、凄い世界を目指してしまったなと思ったものだ。
学生時代から様々な経験を積み魅力的なレジュメを作り、積極的に球団にアプローチをして、外に出ていくことでネットワークを作る。あとは運とタイミングなのではないか。私も全ての始まりは通っていた大学に一番近いメジャーリーグ球団に日本人選手が入団したことから、積極的に行動することでチャンスを与えてもらった。
メジャーリーグで仕事をする者に話を聞くと、意外にそんなストーリーが溢れている。「たまたま」空きが出て、「たまたま」知り合いから連絡があってという「たまたま」が多い。そのたまたまを勝ち取る理由がそれぞれにはあるが、タイミングを引き寄せるためにアンテナを張り、日頃から積極的に行動し、どれだけその夢に向かって我慢をできるかが、メジャーリーグという舞台に近づけさせてくれるのではないだろうか。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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新川諒●文