西武の「ちょっとしたスパイス」に FA宣言→テスト入団の木村昇が抱く想い

自分の場所を見出しつつある木村昇、「広島から来たからこそ感じることが多い」

 FA宣言からのテスト入団という、NPB史上初の野球人生を歩み出した西武・木村昇吾。キャンプ地・南郷で行われた入団会見では、「ある程度の年俸をいただいてて、それを蹴ってまで出て行くなんて、普通はしないですよね。たぶん、頭の線が1本2本おかしいんだと思います(笑)」と、自身の選択を自虐的に話し、報道陣の笑いを誘っていた。

 実際、年俸4200万円から2000万円+出来高(金額はいずれも推定)と、半額以下の契約を自ら選んだ形となったのである。その是非については、今後もさまざまな角度から注目され、話題となるに違いない。

 だが、西武に入団してから約1ヶ月弱、新背番号「0」の立ち居振る舞いなどを見て、言葉を聞いていると、この決断に正誤をつけることは、あまり意味のないことだと思えてくる。なぜならば、すでに彼は、自分の居場所を見出しつつあるからである。

「行けと言われれば、内野、外野、投手、捕手、どこでも行けます」という守備のユーティリティ性。「僕が求められるのはつなぎの部分。小技など、状況に応じていろんなピースに当てはまる」。打撃面での貢献はもちろんだが、何より一番は、“他チームから来たからこその目”。特に、「僕は広島という、投手を中心とした守りのチームから来たからこそ、感じることが多い」という。

 加入して1か月、野手の最年長者として、「影響力がある立場。勝ちたいですから、厳しいことでも、思ったことは言っていきたい。じゃないと、来た意味がないですから」と言う。シビアな視線からも新チームを見つめ続けてきた。その中で、自分が担うべき役割がはっきりと見えてきている。

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