西武の「ちょっとしたスパイス」に FA宣言→テスト入団の木村昇が抱く想い
「“歯止めを効かせる”という役割を、僕が担えたら」
「どのチームでも、試合によっては5点取られることはあります。ただ、『5点目はよかったか? そこ、3点で済んだんちゃうか?』という部分。3点とられた時には、『2点で済めへんかったか?』というところの締めが、西武は弱いという印象があります。このチームは、打撃という最大の武器を持っているので、3点は取れるチーム。今から圧倒的な守備力をつけることは無理だと思いますが、そこの意識で、『取られるのは仕方ない。でも、ここだけは何とか食い止めていこう』と締めていければ、絶対にこのチームは勝てます。粘り強く、連敗しないチームになっていけるはずです。その、“歯止めを効かせる”という役割を、僕が担えたらなと思っています。
口を酸っぱくしてでも『ここやぞ! ここ踏ん張っていこう!』と、言いっていきたい。そして、2点で守って戻ってきたら、『よっしゃ! ここからは好きな打撃や。行こうぜ!』と、切り替えられたらいい。そうすれば、チームは一気にグッと勢いづいていくのかなと思います」
鬼﨑裕司、渡辺直人、昨季までは森本稀哲(昨季引退)、脇谷亮太(現巨人)など、西武はここ数年、他チームから移籍加入してきた経験豊富な選手たちが、それぞれ個性を発揮し、若いチームに好影響をもたらしている。
「僕もそうなりたいですよね。西武は、栗山君、中村君、浅村君など、中軸がしっかりとしているからこそ、僕みたいなのが生きるのかもしれないですしね。“チームカラー”というものは変わりませんから、そこにちょっとしたスパイスが効かせられればいい。その中で、必ず僕も活躍できると思っています」
これから歩む道が正しいか、失敗となるのかは、もはや愚問だろう。「イレギュラーなことって、楽しいじゃないですか」。どんな状況でも、前向きに変えていける最強のメンタルが、木村昇吾には備わっているのだから。
【了】
上岡真里江●文 text by Marie Kamioka