米6年目の元巨人・村田が激白 オフに阪神が獲得の報道も「もう1度挑戦を」

「芯をボキボキ」折って適応、「僕は今、半分アメリカ人だと思ってる」

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18日(日本時間19日)にはドジャース傘下3Aオクラホマシティ戦で今季初めて対外試合に登板【写真:編集部】

――米国での経験で一番の苦労は何でしたか?

「苦労というのか、苦労じゃないのか分からないですけど、自分が好きなこと、野球をやれているので、そこは苦労じゃないのかなと。ただ、やっぱり最初は言葉の壁じゃないですかね。何も分からないままで来て、環境に入っていかないといけないわけなので。ましてやアジア人で、アジアの中でも日本は少し異質な国だと思うので。島国ですし。そういった文化、風習というか、普通が普通じゃない。僕はこっちの普通を受け入れるのが難しいということもありましたし、逆に僕の行動がこっちの人に理解してもらえないこともあったので、そこは慣れるまでは大変だった。自分の中の芯をボキボキ折ることができたので、こっちに馴染むことができましたけど、やっぱりそこになじめない人はいっぱいいると思うので。特にメジャーでやっている選手とかは」

――こっちにいると、自分からどんどん飛び込んでいかないと駄目だといろいろな選手から聞きます。

「それはそうですね。僕は通訳がいないので、周りからも接してもらいやすいですし、自分からも行けました。でも、最初の方はずっとそんなことばっかり考えてました。行きたくもない酒を飲みに行ったりしましたし。やっぱり1年目はすごく行きましたね。試合終わってから『行くぞ』って言われて、『行きたくない。寝たいって』と思いながらも行ってましたよね。クラブみたいなところに行っても、音楽がガンガンなってるから何も聞こえないんですよ。ただでさえ分からないのに。そんなところでガーっと話されて、2回くらい聞き返したら(相手は)諦めてました(笑)。3回目はないなって。

 みんなスポーツバーとかに行ってごはんを食べるのは好きなので、そういうのも積極的に行くようしました。そこで断ってしまったら終わりかな、というのもあったので。友達もできなくなりますし。でも、そのおかげで友達もたくさんいますし、ウインターリーグもベネズエラ、パナマと行かせてもらったので、いろんなチームにいろんな国の友達がいますよ。そこはすごく楽しいです」

――周りから見たら、この5年間はすごい道のりだと思います。自分ではどう振り返りますか?

「順調でないのは確かですけど、本当に自分も成長させてもらった。インディアンスにすごく感謝してます。まだ終わったわけじゃないですけど、でも、こうやってやらせてもらって、ステップを踏ませてもらったというのは、やっぱり成長させたもらった点じゃないかなと。

 日本が駄目だというわけじゃないですけど、日本には1チーム約70人ロースターがいて、1軍は28人。となると、2軍に残るのは40人くらい。40人弱いて、試合に出られる人は限られてくるので、ローテを5、6人で回せることはまずないですね。中1週間以上(登板間隔が)空くなんて普通なので。でも、こっちでは中4、5日で回れるので、悪くても『悪いなりに次はどうやろう』というのが生まれてくるので、そこは成長できる面でもあるんじゃないかなと。

 日本であるコーチに、僕の特徴を言われたことがあるんです。『お前はいい時はいいけど、悪い時は悪すぎる。それではプロじゃないんだよ』と。その時は分かっているようで分かっていなかったんですよ。その人は多分、僕にヒントをくれたんです。でも、僕の中ではそこまで考える能力がなかったというか、『どうしないといけない』というのを分からずにいた。波をなくすということも。でも、こっちに来てやっているうちに、波をなくすというのが、どういうことか分かって。それで、昨シーズンも成績を残せた」

――波をなくすために一番うまく行った部分とはどこですか?

「技術面もそうですし、精神的な面もそうじゃないでしょうか。やっぱり野球に集中するというか」

――どんどん先発が回ってくれば、そこで改善していけますね。

「そうですね。準備しないといけないですし、変に悪くて引きずるわけにもいかないですし、引きずって練習しすぎてもダメですし。最初に来た時は練習しすぎた感じがあった。引きずってしまって、投げすぎて、次の登板に間に合わないとか。リカバリーできていないこともあったので。そこは年々できるようになってきた」

――日本人にとって一番しんどいと言われる中4日のペースは、村田さんに合っていたということでしょうか?

「どうなんでしょうか。しんどいことはしんどいですけど、そこにマッチしようとしました。マッチするために日本式のものを捨てていかないといけない。僕はそれを切っていけた。芯がクネクネできたので。もちろん、時には譲れないものも持っておかないといけないですけど、僕は今、半分アメリカ人だと思ってるので」

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