いつだって最後のつもり―6年連続8度の手術を乗り越えたロッテ右腕の覚悟

ロッテ救援陣の絆、「アイツのユニホームを持って」

 辛い思いを重ね、我慢をしながら今のポジションに到達した。だからこそ人の心の痛みを誰よりも感じる事が出来る。

 昨年9月23日のイーグルス戦(QVC)。ストッパーの西野勇士投手が投球時に左足に打球を当て、亀裂骨折。登録抹消となり、その後のシーズンを棒に振った。昨シーズン、セーブシチュエーションでの失敗はゼロ。絶対的な安定感がチームをクライマックスシリーズへと導いた。しかし、その立役者は華やかな舞台を目前に控え予期せぬアクシデントで姿を消した。計り知れぬ無念さ。同じようにプレッシャーのかかる場面で登板を重ねてきた内らセットアッパー陣は仲間を想い、マウンドに上がった。

「アイツのユニホームをクライマックスシリーズに持って行こう! そして日本シリーズ進出が決まった時にはスタンドに向かって、そのユニホームを目立つように掲げよう」

 中継ぎ陣の間で自然発生的に出たアイデアだった。そしてその中心の一人として内は燃えた。

「一番悔しいのはアイツ。その気持ちは沢山の怪我をしてきた自分には痛いほど分かる。だから、せめてユニホームだけでも遠征に持って行って、一緒に戦おうと思った。日本シリーズまで行ったら復帰できると聞いていたので、アイツの為に勝とうと思っていた」

 みんなが同じ思いだった。西野のロッカーからビジターユニホームを1着持ち出すと、球団にお願いをして遠征用のトラックの中に詰め込んだ。一年間、一緒に戦ってきた仲間として、それぞれで誓い合って札幌、福岡と続くCSの戦いへと向った。

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