引退しても圧倒的人気 レジェンド左腕・山本昌氏が“引っ張りだこ”の理由

スタッフを惹きつける山本昌氏の人柄、一方で強引な手法を取るメディアも…

 評論家としての強みは、何と言っても選手としての活動期間の長さ。30歳も年下の高卒2年目の選手とも昨年のウェスタンリーグで対戦していたため、その印象を語ることができるかと思えば、自身が入団間もない1980年代に全盛期だった名選手との思い出話を引っ張りだすこともできる。引き出しの多さという点では、右に出る者はいない。

 また、野球同様に解説者として向上心を持ち、努力を怠らない姿も、現場の人間から尊敬される理由の1つだ。野球評論家としてデビューすることが決まった後には、Full-Countのインタビューで「しゃべることも勉強しないと、すぐにしゃべるのは難しいですから。何とか伝わりやすいように」と話していた。実際に、サービス精神旺盛で、視聴者や、番組出演者が聞きたい話が何かを考え、惜しげもなく披露する。関係者によると、番組が盛り上がらなかったり、自身がうまく解説できなかったと感じた時には、終了後に深く反省する同氏の姿があるという。

 一方で、自分がコントロール出来ないことは怒らないという。これだけの実績を誇りながら、テレビ番組の収録がうまく進まず、時間がおすようなことがあっても、苛立つことはないというのだから驚きだ。待ち時間が長くなるときも、「みんな一生懸命やっているんだからしょうがないよ」と話し、穏やかなままだという。

 番組スタッフの名前を1人1人覚え、1度で頭に入らなければ、周囲の関係者にさりげなく聞いてインプットする。そして、スタッフを喜ばせようと努力するという。今年1月、「NEWS ZERO」のスポーツコメンテーターに正式に就任し、初めての放送があった日には、始まる前にスタッフ全員と握手を交わし、「一緒にいいものを作っていきましょう」と語りかけた。山本昌氏の人間性を表現するエピソードは枚挙にいとまがない。

 一方で、山本昌氏側が許諾していない段階でテレビ番組が出演情報を流したり、同氏がCM出演契約を結んでいる企業の競合他社の1社提供でラジオ番組を組む放送局が出てきたりと、“タブー”とされる強引な手法を使うメディアも出てきたという。異常な「山本昌人気」が生んだ事態だと言えるだろう。

 ユニホームを脱いでからも輝きを放ち続けるレジェンド左腕。ファンがその姿を見る機会は、さらに増えていきそうだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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