オリックスの「ぶれない軸」 斬新な取り組みが生まれ続ける理由とは

ペットを連れて観戦も可能に?

 京セラドーム社長も務める湊専務は、毎年米国へ球場視察に訪れている。その時に目の当たりにしたアリゾナ・ダイヤモンドバックスが2011年から開催している「バーク・アット・ザ・パーク」からヒントを得たという。試合前には飼い主がペットの犬と共にウォーニングゾーンを一緒に歩くなど、米国では多くの球団が取り入れるようになったペットと一体となったイベントだ。ファンが楽しむために開催することはもちろんだが、安全面を徹底するために、当日はペット関係の専門学校の学生の方にもボランティアとして参加してもらう。

 ほっともっとフィールド神戸という屋外の空間でも、米国で見たペットを連れての観戦を自然な光景へとしていく。

 その青空球場の特徴を生かしたイベントが花火だ。5月28日には埼玉西武戦の終了後に3000発を打ち上げる「Bs大花火大会」を開催することを数日前に発表したところだ。野球観戦を楽しんだあとに約1時間の大花火ショーをさまざまな演出とともに楽しむことができ来るイベントとなる。

 施設の特性を生かして、アイデアを形にしていくことでさまざまな取り組みを続けるオリックス。そのためには常にファンの声に耳を傾け、コミュニケーションを大切に考えている。コミュニケーションの形はCRM(顧客管理データベースのシステム)であったり、要所での来場者アンケート調査であったり、オリックスは常にファンの考えを大切にしている。全てのファンの声は聞けないかもしれないが、コアファン、そして球場に訪れてくれるファンの声をできるだけ多く取り入れ、それを実行に移していく。

 オリックスのファームは、4月10日に奈良で試合を開催する。これもファンとのコミュニケーションから知った。奈良に存在するファンにもオリックス野球を提供する試みだ。もちろん、最終的には彼らにも京セラドーム大阪へ足を運んでもらうことを望んでいる。だがまずはオリックスを応援してくれるファンへリーチし、野球教室などを開催して、実際にチームを身近に感じてもらいコミュニケーションを図っていく。

 コミュニケーションを大切にし、ファンを楽しませるための「ぶれない軸」を持つことで、さまざまな斬新なアイディアを形にし続けるオリックス・バファローズ。誰もがやったことのない斬新な取り組みを続けるオリックスのグラウンド外の挑戦にも注目していきたい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

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