打てる手はあまり多くない? ラミレス新監督が直面するセンターライン問題
DeNA、「中堅・梶谷」の実現で外野の攻撃力アップへ
11年ぶりのAクラス復帰へ、アレックス・ラミレス新監督を迎えたDeNA。今シーズンの開幕戦では広島のクリス・ジョンソンからもぎとった2点を守りきり、見事初白星を飾った。ラミレス監督は、春季キャンプではベンチから捕手に配球のサインを送るなど、大胆な戦略家としての一面も注目されているが、現状のチームの弱点もロジカルに把握しているように映る。
昨シーズン、DeNAの失点はリーグワーストの598点。毎年、失点の多さから槍玉に挙げられることが多い投手陣だが、昨シーズンの投球内容は悪くなかった。失点の原因はNPBで最も得点の入りやすい横浜スタジアムを本拠地にしていることと、野手陣の守備難によるところが大きいと考えられる。
打撃成績、守備成績を得点換算し、リーグの平均的レベルと比較した数字を使って、昨シーズンのDeNAのポジション別攻守成績を見てみよう。
多くのポジションが攻守ともにマイナスで、プラスなのはホセ・ロペスが守った一塁、筒香嘉智が守った左翼、梶谷が守った右翼だけ。捕手、二遊間、中堅などがマイナスになっている。打撃成績は本拠地球場の得点の入りやすさによる有利不利がなくなるように調整したものだが、この数字だと、一見得点力に長けたチームに見えるDeNAが、実際はそうでもないことがわかる。
ラミレス監督もセンターラインをはじめとした野手陣に問題意識を持っているのか、右翼手としてまずまずの守備能力を見せていた梶谷を中堅に回すコンバートを行った。現在のところはケガで出遅れているが、チーム内では守備能力に秀でている梶谷に中堅に担わせることができれば、右翼のポジションが空き、他の選手を起用する選択肢の幅が広がるだろう。
新外国人のジェイミー・ロマックが右翼で先発出場しているが、梶谷のコンバートがなければ三塁手としてしか起用できなかった。「中堅・梶谷+右翼・ロマック」で、昨シーズンの「主に4選手で回した中堅+右翼・梶谷」を上回る得点力と守備力を目指すのは、攻撃力の補てんという目標に向けて、妥当な策といえそうだ。