「今年こそ」の思い胸に― 怪我に泣かされてきた男が志願続投でプロ初完封
肘への負担考慮し先発転向、美馬は「点を取ってやりたいと思わせる投手」
身長169センチ。小さな体をカバーするように、強いハートの持ち主だ。あるチーム関係者は「美馬の投げているときはどうにかして点を取ってやりたいという雰囲気になる」と語っていた。マウンドからナインを引き締めるその姿。大一番でも動じない精神力が、美馬の魅力でもある。
一方で再三の怪我にも泣かされてきた。プロ入りの時点で肘には3本のボルトが埋め込まれていた。セットアッパーとして期待され入団したが、連日肩を作る中継ぎよりも、週1度の登板となる先発の方が負担が減るとして、先発へ転向。だがそれでも不安は一掃されず、昨年オフにも右肘にメスを入れた。
「今年こそ」の思いを、今季初登板で結果に繋げてみせた。昨年は開幕ローテ入りを果たしたものの、援護にも恵まれず初勝利を挙げるまでに9試合、6月3日の東京ヤクルト戦までかかった。だが今季は初戦。しかも完封という最高の結果だ。
「いつも1年間プレーできなくて悔しい思いをしていた。今年はローテーションを守って、チームに貢献したい」
力強く誓った背番号31。フル回転でチームに勝ち星をもたらす。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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「パ・リーグ インサイト」編集部●文