開幕3連戦で前売り完売を記録 なぜ西武は観客動員を伸ばせているのか?
炭谷新選手会長から投げかけられたメッセージとは
2015年シーズンオフの契約更改時、新選手会長に就任した炭谷選手から球団に「開幕シリーズは、西武プリンスドームいっぱいのライオンズファンで埋め尽くし、ファンと共に開幕ダッシュをしたい」という想いが投げかけられた。選手会長と球団が一緒に考え抜いた結果、開幕全3試合において、来場者へオリジナルグッズを配布することになった。
第1戦目はライオンズの応援必需品である「応援フラッグ」、そして2・3戦目には、「寒さが残る春先の西武プリンスドームでファンの方に少しでも暖かい環境で応援をしてもらいたい」という炭谷選手の発案で、オリジナルフリースを配布することが決定した。
春季キャンプ中の2月中旬には、炭谷選手会長が自ら記者会見を行い、開幕3連戦のオリジナルグッズ配布の企画を発表するとともに、「球場へ足を運んでいただき、僕たちと一緒に戦ってください」というメッセージをファンへ発信した。
炭谷選手からメッセージが発信された直後から、多くのファンがそれに応える形でチケットを購入。例年にないチケットの売れ行きに、球団でさえもここまで反響があると想定していなかったという。もちろん、オリジナルグッズに魅力を感じたファンが多いことは事実であろうが、SNS上では「炭谷選手会長の熱い想いに応えて、球場で選手と一緒に戦いたい!」というファンからのメッセージが多く見られた。
このファンの基盤を支えているのがファンクラブ会員組織であり、2008年からはカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)というロイヤルカスタマープログラムも導入されている。このプログラムの導入以降、ファンクラブ会員のチームに対する帰属意識が向上し、観客動員数も年を追うごとに右肩上がりで推移している。
昨年は2005年の実数発表以降では最高となる161万6827人の観客を動員。ロイヤルティの高いファン基盤が育ってきていたところに、シーズン前に炭谷選手から発信されたメッセージがさらに拍車をかけ、2016年開幕シリーズ全3試合は前売りでチケット完売という記録につながったと考えられる。