なかなか試合を中止にしないMLB なぜ米国ファンは雨の中待ち続けるのか

メジャーで試合を簡単には中止にできない理由とは?

 そしてメジャーでは、なかなか試合を中止にできない国土と過密日程の事情もある。30球団で構成されるメジャーでは同じ相手とシーズン中に何度も対戦しない。シーズン中に同じ土地を訪れることも少ないため、その1試合を中止にしてしまうと、両チームの予定をやりくりする必要が出てくる。連戦の初日であれば、翌日ダブルヘッダーを組むなど対処の術はあるが、最終戦であり、しかも移動日での雨天中止となると、その選択肢がなくなってしまう。

 試合開始前であれば、試合を中止にする決定権は開催チームにある。だが、一度試合が始まると、審判にその判断は委ねられる。ただ、大抵は一方的な決断ではなく、両チームの監督、そして球場責任者、審判が集まって話し合いをする場面がよく見られる。

 一度試合が中止となると、その試合をどこに振り替えるかという話し合いが行われる。両チームにとって「ちょうどいいオフ日」があれば話は早い。だが、長いシーズンで全米各地を飛び回っている両チームにとって、シーズンが後半になればなるほど「ちょうどいい日」と呼べる候補が少なくなってしまう。

 選手たちはオフ日を返上することになるため、長期連戦に変貌を遂げてしまう可能性もある。選手会とMLBでは、可能であればオフ日なく20日間連続で試合を開催することは避けるべきという取り決めも行われている。そのため、雨天中止となった試合の影響で20日以上の連戦となる場合は、選手側の同意もチームは必要となる。

 20連戦以上となる日程の組み合わせが必要となれば、監督からチームの選手会代表に相談があり、選手だけで意見を交わす話し合いが行われる。そこで議論となるのが、1試合のためにどこからどこへの移動が最適なのか。そして、埋め込もうとしている試合周辺のスケジュールを比べて、チームにとってどちらに振替試合を組み込むのがベストかを議論する。選手会とMLBが交わしている労働協約では、さまざまな規定があるため選手たちの意見も尊重される。

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