助っ人たちが日本プロ野球に帰ってくる理由 限られたイスを巡る戦い
思い出深かったボビー・スケールズ
だが一度日本を経験している外国人選手にとっては、ある程度日本での生活が予想出来る範囲となる。その安心感は選手だけでなく、球団側にとっても大きい。むしろ1年間日本での生活を経験したことでプレー面にもプラスになると予想しても不思議ではない。
限られた候補の中で新たな外国人選手をスカウトし、再び未知の戦力に期待するよりも計算出来る安心感を求めることが変わらない外国人選手の顔ぶれに繋がるのではないだろうか。
数年前の話になるが、私にとって思い出深かったのがボビー・スケールズという選手だ。2011年シーズン途中に北海道日本ハムファイターズに加入し、80試合に出場。翌シーズンは米国に戻り、ニューヨーク・メッツの傘下バッファローに所属しており、対戦時に話をする機会があった。米国に戻ってきたものの、日本での経験について好意的に話していたことを思い出す。そして数週間も経たないうちにオリックス・バファローズとの契約合意のニュースが流れた。32試合で打率.339と好成績を残していたが、再び日本の地に戻っていった。
今年もパ・リーグには他球団から移ってきた選手には、マリーンズのスタンリッジ投手がいる。そしてセ・リーグへ移った選手の中には元マリーンズのクルーズ。そしてセ・リーグ間ではベイスターズ在籍のロペスやカープのルナと多くの外国人選手が別チームから加入した。更には韓国リーグを経て、日本にやってきた選手もホークスのハンデンハークやロッテのナバーロがいる。
日本国内だけでなく、韓国や台湾を巻き込んで選手が入れ替わるようになった。そのアジア内を巡る外国人選手の「輪」に加わろうとその枠を目指す外国人選手は数多く存在する。
今シーズンは例年以上に、「新」外国人選手が各チーム多く加わった印象がある。数年前までは毎年同じ外国人選手がチームを移り変わっていたように思うが、最近はスカウティングも強化され、リスクを負ってでも新戦力獲得に励んでいるチームが多い。
安心感、そして計算出来る外国人選手を獲得したチーム、それとも新たに輪に加わることを目指す新戦力を獲得したチーム。どちらに軍配があがるのか注目したい。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
【了】
「パ・リーグ インサイト」新川諒●文