譲り合ったウイニングボール ハム栗山監督が見せた気遣いと300勝への思い
陽岱鋼にかけた言葉、初勝利の助っ人も気遣う
「早いけど、ずいぶんと前から岱鋼にはいろんなことを伝えながら前に進んでいる。『大事な選手だから練習で何かが起こったらやめるよ』とも伝えていた。 シーズンの流れの中で『今日なんだ』と思っていたし、今日は使うと決めていた。だからこそ、しっかりとした野球をやらないといけないと思っていた。そのスタートとしては良かった」
試合後も栗山監督らしかった。バースからウイニングボールを受け取ったが、来日初勝利の右腕に恐縮。節目のボールを何度も譲り合い、最後に受け取った。
「オレは物はいらない。監督室には、いくつかボールがあるんだけど、自分からもらうことは一切ない。選手たちがやってくれることは大切な宝物としてあるから。だけど、今日はバースが『どうしても』と言ってくれたので……。監督室に飾りました」
らしさ全開でつかんだ節目の白星。球団史上6人目で、通算成績は597試合で300勝279敗18分けだ。23日からリーグ王者・ソフトバンクに挑む。
「借金背負う形で福岡に行きたくなかった。この2試合は目いっぱいやってきた。今日はどうしても勝ちたかった。これを弾みにして頑張ります」
選手のため、そして4年ぶりのリーグVを目指すチームのため。献身的な姿勢を貫き、今年こそパ・リーグの頂をつかむつもりだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count