日ハム栗山監督、選手への気遣いが生む求心力 55歳バースデー勝利の意味

「こっちは選手のために出来ることを必死にやり尽くすしかない」

 確かに、この日の練習中は栗山監督は外野の左翼ライン上から練習を見守った。誕生日とあってか、選手が話しかけづらい位置に陣取っていた。

「みんなに気を遣わせて、迷惑かけないようにと思っている。選手がどう思ったかは別の問題として、こっちは選手のために出来ることを必死にやり尽くすしかないので。監督になった時から、この思いは変わらない」

 試合後は谷口からウイニングボールを受け取った。だが、ここでも栗山監督の言葉の端々に人間性がにじむ。

「逆に申し訳ないよね。オレは物は必要ない。10年後、20年後のために選手たちが作ってくれる素晴らしい思い出だけで十分なんだけど。(ボールは)宝物として持っておきます。しかし、『監督が誕生日だから』と盛り上げてくれる球場もない。本当にみんなに申し訳ない」

 この日の勝利で12年の監督就任以降、栗山監督の誕生日は通算3勝1敗。西川はヒーローインタビューで「栗山監督、誕生日おめでとうございます。これからもシワが増えないように。 僕が迷惑をかけないように、いい笑顔で歳を取っていってください」とユーモアたっぷりに声を張った。栗山監督の求心力を如実に表していた。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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