LA伝説的アナウンサーが名実況 イチローは「メジャーにおける本物の個性」
数々のエピドードを披露、ヒット後には「アメージング・イチロー」「マジック」
「イチローは長男という意味なんですが、彼は実際のところ次男だったそうです。でも、漢字をチェックしていたところ、1つ違いがあるんです。彼の名前の意味は最も聡明で、快活というところです。見てください、通算2942安打です」
イチロー(一朗)の名前の由来などを打席の間に視聴者に静かに伝えた。そして、昨季最終戦のフィリーズ戦の8回裏に、イチローがメジャー初登板を果たしたエピソードに移る。そこには驚くべきデータが隠れていたという。
「彼は野手における最年長投手となりました。昨年投げた野手27人のうちの1人がイチローです。イチローは1996年の日本のオールスター以来の投球になりました。何てミスマッチでしょう。イチローは2935安打の記録を持ちながらマウンドに向かったのです。イチローはフィリーズ戦で投手を務めました。2935安打でしたが、彼が対戦した打者5人は合計で430安打でした。そこまでいいピッチングではありませんでした。1回を投げ、2安打1失点でした」
知られざる事実を次々と披露し、視聴者を飽きさせない名アナウンサー。そして、イチローは1ボール2ストライクから2球ファウルの後の6球目、右腕コールマンの外角スライダーを華麗な流し打ちでレフト前に弾き返した。
メジャー通算2943安打として、フランク・ロビンソンに並んで歴代32位タイ(MLB公式サイトの歴代安打数ランキングによる)に浮上したが、スカリー氏は抑揚の利いた声で、「背番号51」のヒットをこう伝えた。
「イチローは42歳です。そして、彼はヒットを放ちます。アメージング・イチロー。彼のバットを振る姿はまるでマジックです。レフトに打ち返しました」
絶叫はしない。重厚感の中に優しさをにじませた口調で、イチローの打撃を「アメージング」そして「マジック」と絶賛した。
3000本安打まで残り57本。球界の宝とも呼ばれるレジェンドアナウンサーにも深い敬意を示されるイチローは、金字塔に一歩一歩近づいている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count