独立Lで「3足のわらじ」 岩村明憲氏の今「福島県のために野球をやってる」
監督になって思い出す名将の教え、「1つのチームってそういうもんだよな」
――監督になったからこそ、分かることもある。
「あるよ。言いたくないことでも言わなあかんなって。穏便に終わった方がいいし、人に嫌み言ってどうするのって思うけど、わざとそう言ってハッパをかけることもある。かけ方は人それぞれだけどね。結局、選手に言ってるのは、自主性を持て、ということ。自分がプロに行きたくないなら辞めてくれ。うちは27っていう選手枠しかないわけで、他にも待っているヤツはいっぱいいる。中途半端にするのは辞めてほしいね」
――今、この立場になってみて、レイズ時代の恩師でもあるジョー・マドン監督(現カブス)が言っていた『チームが勝つためには選手はみんな大事なピース。適材適所で控え選手も含めて誰も欠かせない』という考え方がより実感できる場面が増えましたか?
「なおさら強く思うようになったね。うちは今年創立2年目。去年は前期が最下位だった。たった8勝しかしていないチームが後期20勝して優勝した。その時に、選手は誰も欠かせないピースだって、自分でも感じたね。いくら監督をやっていても、俺の力で勝ったとも何とも思ってない。選手がみんなついてきてくれた。だからこそ優勝があった。ジョー(マドン監督)の時に『1つのチームってそういうもんだよな』って思ったことを、改めて感じたね」
――日本でプレーしていた時は『チームが勝つためには、選手はそれぞれの役割がある』という考えはなかった…。
「日本の時は、自分の成績を頑張ってあげればチームのためになるんだ、としか思っていなかった。自分がやれば、自ずとチームの勝ちにつながっていくんだって。だから、ジョーに教わった部分はデカイ。特に、ジョーは現役時代メジャーでほとんどプレーしていないから、そういう考え方になったんだろうね。今では最優秀監督を何度も獲って、名将と呼ばれている。俺もそういう監督のもとで野球ができてよかったと思っているし、今でも尊敬している」