涌井が示した我慢強さ 強風にも負けず5連勝、無敗「ちょっとだけ願ってる」
強風の中で7回2失点、リーグトップ5勝目
勝負ごとはキレたら終わり。我慢と粘りの大切さを、ロッテのエース涌井が身をもって示した。
29日の日本ハム戦。この日のQVCマリンは最高風速13メートル。センターポールにあった青い真鯉と、一番下の黒い子供の鯉が強風で吹き飛んだ。その悪条件の中、5回2死走者なしで、初回、3回と連続二塁打の陽をファールフライに打ち取りながら三塁中村と捕手田村がお見合い。これが響いて中前打を許し、中島、田中賢の3連打で2点目を失った。
カッとくる場面だが、なお一、二塁で前の試合でサヨナラ安打を放ち気をよくしている中田を慎重に中飛に打ち取った。その裏、「ワク(涌井)が頑張っていたので、何とか打ちたかった。ファーストストライクを打ちにいった。練習でもないあたり」という清田がメンドーサから左中間に同点2ランで応えた。
清田も我慢した。初回、3回と一度もバットを振ることなく、連続四球。5回の打席でも初球から2球ボールで何と11球目に来たストライクをジャストミートする、これぞプロの一発。さらに涌井のハイライトは逆転してもらった直後の7回2死三塁で2番の中島に直球を8球ファールで粘られたが、最後は148キロのストレートで見送り三振に切ってとった。
これで開幕5連勝、月間MVPの有力候補に躍り出た。「(風を)プラスに考えれば、真っすぐが多少勢いずくかな……。ちょっと浮き気味にもなる。外の変化球を打たれるケースが多いので、あそこは内角にストレートを投げれば頭を超されることはないと思った。風の影響はプラス、マイナスゼロですね」と笑うが、日本ハム投手陣はロッテに四球8個。対する涌井はこの強風の中で無四球と立派の一語に尽きる。
ヒーロインタビューで、「負けなしをこのまま続けたいでしょう」と問われ「ちょっとだけ願っている。風が強いのでレインボーブリッジが閉鎖されているかもしれないので、気をつけて帰ってください」とファンを気遣って、また一段と大きな歓声を浴びていた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count