イチローの「好機でナーバスになる」発言に米解説者が見た偉大さとは?
「それが偉大な野球選手がヒットを打つために大事なことの一つ」
イチローはメジャーで満塁での通算打率3割8分3厘という絶大な勝負強さを誇る。背番号51のクラッチヒッターぶりはアメリカでも有名なだけに、これを聞いた解説者のマーリンズOB、プレストン・ウィルソン元外野手は爆笑。実況は「信じられませんよ。『あなたもナーバスになることがあるんですか?』と(聞きました)」とあまりに意外な発言に耳を疑ったことを明かした。
だが、絶好機でナーバスになるという人間心理をあっさりと認めるイチローの凄さを、ウィルソン氏は称えた。
「それが実際のところ、偉大な野球選手がヒットを打つために大事なことの一つかもしれません。少しナーバスになる、少しばかり自分に厳しくなる時もありますが、それを受け止めて、その時の精神状態を一旦断ち切るのでしょう。それは自分の仕事を完遂できないという自信の欠如ではありません。でも、そういう状況下において、何らかの変化があると自覚することができる。それを口に出して言うことができる。偉大な選手にはそういう能力があるのです」
プレッシャーから逃げずに対峙する。ナーバスな気持ちを認めたイチローの発言は偉大な選手ゆえと、ウィルソン氏は称賛した。イチローの打率は3割3分3厘で変わらず。敬遠四球で出塁率は.400となった。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count