最近は選手参加型に 日米球界で変わりつつあるチャリティー活動
選手自身がやりたいチャリティーを球団がバックアップ
メジャーでは、スプリング・トレーニング中、選手会の下で活動するチャリティー団体のスタッフがアリゾナ州、フロリダ州を回り、選手やスタッフに向けて説明会を行う。団体の存在に救われたという元選手やその家族も帯同して、選手たちが練習前に話を聞く場が設けられる。もちろん報道陣はこの空間に立ち入ることができないため、あまりメディアで報道されることは少ないが、スプリング・トレーニング中は毎日のように、こういったミーティングが実は行われている。
こういったミーティングの最後には、各選手に案内の資料と共に、その場でチャリティー活動への参加意志を促す用紙も手渡される。週割りや月割りの支払い方法が記されており、チェックさえすれば、年俸から自動的にチャリティーへ寄付されることとなる。自然な流れで寄付が行える環境こそが、チャリティーが文化の一つとして浸透している証でもある。
また、ボストン・レッドソックスのように球団自らNPO部門を設立する場合もある。私もこの球団に在籍していた時に「レッドソックス・ファウンデーション」の選手向け説明を聞いたことがあるが、興味深かったのは球団が考えるチャリティーに選手が賛同するだけではなく、選手自身がやりたいチャリティーをバックアップしてくれるという体制だ。
どこまで選手たちがレッドソックス・ファウンデーションの仕組みを活用したのかは分からないが、当時は多くの在籍選手がチャリティーイベントを開催していた記憶がある。当時エースとして在籍していたジョシュ・ベケット投手は「ベケット・ボウル」と題してボウリングイベントを開催し、このイベントでの売り上げはボストンにある小児病院へ寄付されていた。レッドソックスの選手たちはもちろんだが、同じ街をホームとするMLSニューイングランド・レポリューション、NFLニューイングランド・ペイトリオッツ、NHLボストン・ブルーインズといった他競技の選手たちも参加していた。同じ街を代表する選手たちが競技の垣根を越えてチャリティー活動を盛り上げるのである。