100個到達はヤクルト新垣を含め史上3人のみ 暴投の多い投手の特徴は?
ダルビッシュのスライダーは? 実は「一番難しいのは…」
では、ダルビッシュ有(レンジャーズ)のスライダーはどうか。メジャーでも屈指と言われるスライダーはキレ味抜群だが、日本では36暴投、メジャーでも29暴投と、決して数は多くない。野口氏は「ダルビッシュの場合は、スライダーをボールゾーンに投げる必要がないですからね。ストライクゾーンで空振りが取れてしまう」と指摘。日本人最強右腕の決め球は、あまりにも曲がりが鋭いため、暴投が少なくなっているという。
さらに、野口氏が捕手として最も捕球が困難だと言うのが、実はスライダーではなくストレート。「一番難しいのは、真っ直ぐのワンバウンドですね。キャッチャーは準備していればいいですけど、真っ直ぐの場合はワンバウンドが来ると思ってないので」。新垣の場合は、スライダーとフォークを球種として持っており、さらに「抜けるボールではなく、引っ掛けることが多い」(野口氏)タイプの投手だけに、ストレートがワンバウンドになることもある。暴投が多くなる要素が揃っていると言える。
もちろん、暴投は投手だけの責任ではない。ワンバウンドを止めることは、捕手の重要な仕事でもある。野口氏は言う。
「キャッチャーがどんなにうまくても、どうにもならないボールは間違いなくあります。ただ、一概にピッチャーが悪い、新垣や一久が悪い、というだけではない。例えば、一久にワイルドピッチが多かったのは、初めは古田さんと組んでいたけど、後を受け継いだのは若いキャッチャー陣だった。(キャッチングの)技術ががくんと落ちた、というのはあるでしょうね」
新垣の100暴投は、あらゆる要素が組み合わさって生まれた“大記録”だったと言えそうだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count