未踏の地をいくナックル姫・吉田えりが抱く夢「すごい道を選んでしまった」

米では価値ある1勝、「ナックルボールってすごい可能性のあるボール」

――野球大国のアメリカとはいえ、当時プロレベルで女子が男子と一緒にプレーすることは珍しいことでした。新しい領域に足を踏み入れることは勇気のいることだと思います。

「もちろん、お手本がないので、本当に模索模索の日々になってしまいますね。18歳の時にプレーしたチコは、リーグ自体のレベルがめちゃめちゃ高かったと思うんですよ。メジャー経験者もいたし、3Aとか2A(の経験者)は当たり前。1日3本くらいホームランが出たこともあったし、とんでもないところに来てしまったなって。そんな中で、先発の機会を与えてくれるんですけど、全然結果が残せなかった。それが一番悔しかったですね」

――今、当時を振り返ってみて「こうすればよかった」と思うことはありますか?

「どうだろう? 『ああしておけばよかった』とは思わないですね。やっぱり、自分の中ではいつもベストを尽くしてきた。できる限りのことはしていたので、それ以上のことは自分には多分できなかったと思います。もちろん、今だったら言えるアドバイスとかあるんですけど、その時は必死でしたね」

――2011年から所属したマウイ・イカイカでは、待望の初勝利を挙げました。

「アメリカの独立リーグで、初めて1勝したんです! 対戦相手はエドモントンでした。それまで得た日本とアメリカの経験を基に、この年に投げ方を変えたんですよ。サイドスローだったのを上投げにしました。うれしかったですね!! 『いつになったら1勝できるんだろう。無理なのかな』って考えたこともありました。正直、ずっと負けが続くと、今までの自分じゃなくなっていくっていうか。いろいろ試行錯誤した上での1勝だったので、本当にうれしかったです。

 自分では、ナックルボールってすごい可能性のあるボールだと思っている。そして、その可能性を信じて応援してくれる人もいる。ブログで『1勝しました!』って報告をするのが、本当に楽しみだったのを覚えています」

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