未踏の地をいくナックル姫・吉田えりが抱く夢「すごい道を選んでしまった」
大家と“ナックル会”も実施、「まだ2人とも試行錯誤」
――17歳でプロ野球選手になってから今年で8年目。いろいろな経験を経たことで、ナックルボールを使いながら独立リーグやNPBで成功するという目標への道のりは、少し見えてきましたか?
「目標までの道のりは見えてはないです。誰もやったことがないことをやっているわけですし、女子に限らず、日本人のナックルボーラーはNPBにいません。BCリーグの福島(ホープス)には大家(友和)さんがいらっしゃいますけど、実際にNPBで活躍するナックルボーラーはいない。だから、なかなか道は見えません。
『どこまでのナックルが投げられればNPBに行けるのか?』『日本人にもできるのか?』って考える時もあるんですけど、でも、なんですかね、やっぱりその道を進んで行きたいですし、行ったらどういう景色があるのか見てみたい。そういう自分の夢が、応援してくれている人たちの夢でもあるのかなって思うんです。そういう意味でも自分の夢を叶えたいですね」
――最高のナックルボールを追究する道が、目標を達成するための近道になるのかもしれません。
「そうですね。ナックルって本当に奥が深いんです。今まで何度も試行錯誤を繰り返して。今は上投げですけど、下から投げたり、横から投げたり、握り方も変えたり。アメリカでは『ナックルボーラーはナックルボーラーに教わった方がいい』ということで、ウェイクフィールド選手やディッキー選手、チャーリー・ハフさんやフィル・ニークロさんといった蒼々たるナックルボーラーが集まって、みんなでナックル会を開くらしいんですよ。なんかすごい選手でナックル会をしているから、恐ろしいなって思うんですけど(笑)。
ウェイクフィールド選手もなかなか上手くいかなかった時にナックル会があったから乗り越えられたという話を聞いたことがあります。でも、日本ではないんですよねぇ。一昨年かな? 大家さんとナックル会をさせていただいたんですけど、まだ2人とも試行錯誤。元NPBの大家さんでさえ難しいっておっしゃるんだから、本当にすごい道を選んでしまいました(笑)」
――でも、その道を選んで後悔はないですよね。
「はい、ないです! まだよくなるって感じてます。ナックルボールの可能性を信じながら、これからも目標に向かって投げ続けていきたいと思います」
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count