イチローが米紙に語った“ピート・ローズと自分”「僕らは真逆のタイプかも」
4000安打到達の夜には「フォーカスできない」と語っていたローズの記録
ヒットを放った後もポーカーフェイスを貫くイチローのスタイルは、どんな時も変わらない。ジョージ・シスラー超えや通算4000安打の節目のヒットを放った時、そして09年の第2回WBC決勝で韓国を下した時、世界一を決めた決勝打の後ですら、表情は一切変わらなかった。「感情を周りに見せない」という哲学を貫くだけに、「チャーリー・ハッスル」との明らかな違いを感じているようだ。
対照的なスタイルで世界一のヒット数を積み重ねてきたローズを、イチローはいよいよ抜こうとしている。2013年にヤンキースタジアムで日米通算4000安打に到達した夜、イチローは“ローズ超え”の可能性について質問を受けていた。「(2010年に)10年連続200安打を達成した時に、ピート・ローズについて『是非超えたい』と言っていましたが」と振られたイチローは「そんなとんがってましたかね、僕(笑)」と笑い、ローズについてこう語った。
「あの時ね、なんか、ちょっと僕に対して挑戦的というか、そういう話を聞いたんですよね。でも実は、そうではないらしいです。なので、そんな誘導には、今の僕は引っかからない(笑)。そういう自分を演じているらしいですね、ピート・ローズさんは。それを聞いて、それはそれですごいなと思うし。ただ、さっきも言いましたけど、明日出られるかどうかは今日決まる、みたいな日がずっと続いているので、そんなところに現段階でフォーカスすることはできないです」
ヤンキース時代には起用法が一貫せず、苦しむこともあっただけに、“ローズ超え”には「フォーカスできない」と話していた。ただ、その数字は目前に迫っている。
世界一の安打製造機となった時も、イチローの表情が変わることはないだろう。ただ、胸の中にはどんな感情が湧いてくるのか、興味深いところだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count