米国の関心は3000安打? イチローのローズ超えは「お祭り」への通過点
高まる賞賛の声、パウエル氏「スペシャルな選手が特別な記録をつくる瞬間はみんな見たい」
ここ数年はロールプレーヤーとして出場機会が限定されている一方で、イチローが一度活躍すれば、賞賛の声は以前にも増して耳に入りやすくなったようにも感じる。中日で1994年から3年連続首位打者に輝いた実績を持つ、アストロズの打撃コーチ補佐のアロンゾ・パウエル氏は次のように話す。
「みんなイチローのプレーが好きだ。長期にわたって高いレベルでプレーしたことは誰もが知っている。たとえ3000安打に届かなかったとしても、野球殿堂入りを疑う者はいないだろう。スペシャルな選手が特別な記録をつくる瞬間はみんな見たいはず。僕もとても楽しみにしている」
イチローにとってはローズの記録も、大リーグ通算3000安打も野球殿堂入りの切符ではない。2001年の新人王とMVPのダブル受賞に始まり、262安打のシーズン最多記録、10年連続200安打、オールスターでのランニングホームラン、目を奪われる美しいベースランニング、外野からの稲妻のようなレーザービーム等々。イチローの実績はもう十分に輝かしいものであり、今すぐ引退しても殿堂入りは間違いないという声が圧倒的に多い。
むしろ、今後訪れるであろう偉業達成の瞬間は、ベースボールファンや運良く(もしくは運悪く)目の前で見ることのできるメジャーリーガーや関係者にとって、数々の興奮を巻き起こした生きる伝説を祝福する節目となり、もっと柔らかく言えば「お祭り」となるのではないか。だからこそ、ローズの記録を日米合算で抜いたときも異論はあるにしろ、祝福もされる。なぜなら、42歳のシーズンで打率3割4分7厘(現地14日時点)をマークするベテランの健在ぶり再認識することになるから。そして、「3000」という大きなお祭りの日に向かって着実に前進していることを示すのだから。
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伊武弘多●文 text by kouta Ibu