突き付けられた新たな課題 四国IL選抜の次なる術とは?

先発の四戸は2回途中5失点で降板

 現地時間22日19時5分(日本時間23日8時5分)からカナダ・ケベック州ケベックのケベック市営球場で開催されたケベック・キャピタルズとの3連戦2戦目。先発のマウンドに登ったのは北米遠征初登板となる四戸洋明(愛媛マンダリンパイレーツ)である。東京の名門・国士舘高校から高卒で独立リーグの門を叩き、今季は2年目にして前期3勝1敗。防御率2.54。130キロ中盤のストレートとスライダーを投げ分け、ローテーションの一角を立派に守っている。

 ただ、そこは20歳。さらにバッテリーを組む古川大珠(香川オリーブガイナーズ)も岡山・おかやま山陽高卒1年目の18歳。「緊張するな」という方が無理な話である。

 では、周囲がすべきことは何か。先輩たちがこまめに声をかけ、励まし、時に檄を飛ばすことである。ただ、彼らは際立った行動をとれなかった。いつもよりこまめに、ゼスチャーを大きくしてバッテリーを鼓舞することができなかった。

 1回裏、先頭打者が四球を選ぶとすぐに二盗。二ゴロで一死三塁のピンチを迎えると、2013年WBCオランダ代表・2015年プレミア12代表の3番カリアン・サムスは軽々とレフトフェンスの向こうに運ぶ特大の2ラン。2回裏にも四球をきっかけにピンチを招き、バッテリーミスと9番の2ランで3失点。四戸は四球で出したランナーをミスと本塁打2本で返される悪循環により1回1/3、41球で5失点降板。北米遠征初登板は苦い結果に終わった。

 とはいえ、中島輝士監督がこの試合で四戸、古川大のバッテリーをスタメンに抜擢した理由も「カブキJAPAN」のコンセプトを鑑みれば理解はできる。「バッテリーが若いから仕方がない」という固定概念を壊しに行く。同時に、若い2人の活躍を残り選手26人でサポートして、チームの共同作業で事前評価を覆す。6勝5敗と勝ち越し昨年の勝ち数に並んだことに満足せず、新たなハードルを設定する。これもまた「KABUKI SPIRITS!」の精神であるはずだ。

 2番手の嘉数勇人(高知ファイティングドッグス)が登板してはじめて、マウンド上で活気のある声が上がる選手たち。それでは遅い。残念ながら、このような指揮官の意図を汲み取り、かつ冒頭に記した状況も考えながら試合を進める余裕がまだチーム内には不足していたといわざるを得ない。

 結果的にこの5点は、ケベック・キャピタル打線を完全に勢い付けることになった。5回裏、再び3番のサムスにホームランを打たれると、終わってみれば被安打13。うち本塁打5本。11失点。登板6投手中・6番手の岸本淳希(香川オリーブガイナーズ)を除く5投手が計7四死球を与えたことも試合の流れを難しいものとしてしまった。

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