最終目標の3連覇へ―ソフトバンクの首位独走を支える工藤監督の“みる”目
2人の巡回コーチは指揮官のもう1つの目、選手たちの状態を“視る”役割
今季からソフトバンクには巡回コーチという新たなポジションが加わった。打撃部門を担当するのは関川浩一コーチ、投手部門が倉野信次コーチだ。3軍制を持つソフトバンクにおいて、2人の巡回コーチは指揮官のもう1つの目となって選手たちの状態を“視る”役割を果たす。
「巡回コーチに見てもらうことで、その選手の状態をしっかりと把握することが大事。打者なら2軍でやらなかったバントを1軍ではやってもらうこともあるし、投手なら単に『2軍戦で抑えました』ではなく、『1軍で抑えるにはもっと球威が必要だ』とか、『変化球でカウントを取れる方がいい』とか。
選手が1軍で戦力となるために何をさせるのか、その計画を立てて選手とコミュニケーションを取ることで、選手がはっきりとした目標をもち、それがモチベーションに変わっていく。そういう役割を任せています」
よくソフトバンクは選手層が厚いと言われるが、その分厚い選手層を本当の意味で活用できているからこそ、今の強さがあるのだろう。先を見て、選手を看て、若手を視る。その先に見えてくるのは、孫正義オーナーが望むV10なのかもしれない。
【了】
藤浦一都●文 text by Kazuto Fujiura