「横の揺さぶり」で飛躍、巨人・菅野の投球を検証 9失点KOから修正なるか?
投球コースからも見えてくる「縦から横」へ
球種だけでなく投球コースを見ても、菅野の投球の縦から横への変化が感じられる。
ストライクゾーンを6×6=36マスに分割し、その周囲のボールゾーンも加え10×10=計100のマスに区分し、菅野がどのゾーンに多くのボールを投じたかを集計した。図は投手目線のものになっている。
より多くのボールを投じたゾーンほど濃い赤色にしている。割合として最も高かったゾーンのいくつかには数値も記載した。マス目の右横と下に伸びている棒グラフは、横の列、縦の列ごとのパーセンテージの総計を示している。
昨季と今季を比べると、濃い赤色の分布は、上下から左右へと広がり方が変わっている。昨季はストライクゾーンのやや下のゾーンに多くの球が集まっている。これはストライクからボールになるフォークボールを多く投じた影響とみられる。今季はそのゾーンの色が薄くなっており、代わりに左端や右端のゾーンが濃くなっている。ツーシームやスライダーなど横に変化する球種が投球の中心となっている様子が、投球コースからもわかる。
そしてこれは両年を通じて言えることだが、右打者にとっての外角などは、ストライクとボールの境目の際どいコースに多くのボールを集めている。今季見せている別次元の投球は、効力を増したいくつかの球種によって実現しているとみられるが、ベースにあるのは揺るぎない制球力と考えるべきだろう。(ここまでの数値は、交流戦終了時点のもの)