U-15W杯がいわき市で開催された意義 侍Jナインが被災地訪問、気持ち新たに
震災直後に訪問した鹿取監督「あの時は子供が足にしがみついて離れなかった」
最後には太平洋に向かって選手20人が手をつないで目をつぶり、明日から始まるスーパーラウンドへの思いを胸に刻んだ。キャプテンの野口海音は「被災した方々に自分たちの全力プレーを見ていただいて、ちょっとでも力になれたらいいな、ということを考えました」と話した。
場所を移動し、「いわき・ら・ら・ミュウ」内にある「いわきの東日本大震災展」も見学。写真や映像のほか、津波の高さを示すボードやいわきの子どもたちのメッセージが展示され、選手たちは熱心に見入っていた。中には避難所となった体育館の段ボールで区切られていただけのスペースも再現されており、震災直後にいわき市の避難所を訪れている鹿取義隆監督は「あの時は子どもたちが足にしがみついて離れなかったね。みんな、しがみついてきて、何人抱えたかわからないよ」と思い出していた。
4月の熊本地震で学校に避難し、車中泊を経験した、北熊本ボーイズ所属の星子海勢は「(東日本大震災の時は)他人事だと思っていたが、熊本も地震があり、熊本地震の時も津波が来るのかと不安になった。僕のところはそんなに被害がなかったが、まだ手つかずのところもある。熊本で被災した方々をプレーで元気付けられればいいなと思います」と決意。野口も「僕たちができるのは精一杯、全力で戦うこと。苦労した人たちに元気を与えられればいいなと思います。チームは5連勝でいい流れがきている。このままスーパーラウンドも負けなしで世界一を獲りたい」と、改めて優勝を誓った。
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高橋昌江●文 text by Masae Takahashi