ジーター氏がイチローへの想い綴る 「何よりも胸に刻まれている」時間とは
様々なエピソード綴ったジーター氏、「忘れられない出来事」とは…
コラムの中で、ジーター氏は他にもイチローとの様々なエピソードを披露している。デビューイヤーから、イチローが出塁した際には二塁上で言葉を交わしてきたという2人。「いつだってフレンドリーで、イチローの英語が上達するにつれて僕らの会話の時間も増えていった」という。
2人はヤンキース時代にチームメートとしても交流を深めており、ジーター氏が引退した14年シーズンの終了後には、ロッカーを片付けにヤンキースタジアムに行くと、打撃ケージに向かおうとしているイチローを見たといういう逸話も紹介。ジーター氏は「彼がほんの数日でも休めるように」と思ったという。
また、「忘れられない出来事」として挙げているのが、12年のリーグ優勝決定シリーズの話。ジーター氏は第1戦で足首を骨折して離脱したが、その試合後にイチローがユニホームを着替えることもせず、気持ちの整理をつけたジーター氏が帰るまでほぼ無人となったクラブハウスでずっと座っていたという。
「とうとう僕は松葉杖を使って立ち上がり出ていこうとした。その時に気がついたんだ。イチローは僕のことを待っていてくれたのだと。僕が立ち上がると彼も立ち上がり、僕が去るのを見送っていた。
これが敬意の表れなのかどうかはわからない。彼に尋ねなければならない。ただ、僕は彼が何を言おうとしてくれたのかはわかる。何年も続いた二塁上でのちょっとした会話やチームメイトとして過ごした時間を経て、あの夜、僕らの間にあった沈黙の瞬間は何よりも胸に刻まれている」
ジーター氏はその時の気持ちをこのように振り返っている。