突然の休部で変わった野球人生 今も受け継ぐ名門野球部の教え

日産同期入社にはプロ入りした選手も、「本当にプロに行ってよかった」

 今年からキャプテンを務めているが、チーム内のルールは作らず、基礎を大切にすることに重点を置いている。「若い選手は、すごく練習をするし、野球が好きだと思います。ただ、変なところで要領が悪い。でも、グラウンドでは余計な上下関係を気にせずやってほしいと思っています。一塁までの駆け抜け、フライを上げた時の次の塁への走塁、ベンチでの声出し。それだけやっていればチームは締まってくる。それ以外は好きにやってくれればいいと思います」。

 そんな「基礎を大切にする」という信念は、日産野球部で培われたものだ。

「(日産野球部に)入部して最初にサインプレーを覚えましたが、作戦の細かさにびっくりしました。これは今までの野球とは違う。ほかの社会人チームでもここまでやっているチームはないだろうと思いました。日産のノックはめちゃくちゃきつくて、毎日疲れました。

 でも、先輩たちは上手いし、しっかりやっている。ベテランの選手がチーム引き締め、新人の僕らを後押ししてくれました。これが神奈川の強豪チームの野球なんだと思いました。日産の野球は軽いプレーが許されない。本当に厳しかったですが、基礎の大切さを学びました。JFE東日本でも基礎の大切さを伝えたいと思っています」

 阪神タイガースで育成から支配下登録され、5月15日に1軍で初登板を果たした田面巧二郎投手は日産自動車の同期入社。日産野球部の休部後、田面も中野と同じくJFE東日本野球部に移籍した。

「日産の時から仲のいい後輩でした。同期入社ですが、田面は高卒での入社なので弟分でしたね。JFE東日本に移籍当初は、公式戦で投げていませんでしたが、ものすごくいいものがありました。日産のコーチやチームメートから『田面を頼むな。プロに行ける力を持った選手だから』と言われていました。本当にプロに行ってよかったと思います」

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