未だ残される選択の余地 疑惑のスラッガー取り巻くドラマに“続編”あるか

Aロッドはどのような選手として記憶に残りたいのか―

 そう、疑惑のスラッガーには最後に選択の余地も残されている。このまま静かにユニホームを脱ぐか、それとも記録への挑戦の誘惑に手を伸ばすのか――。

「常に若い選手を指導する情熱があった。若手が才能を開花するための手伝いをすることでヤンキースに貢献したい。(マイナーの球団施設がある)タンパからニューヨークをつなぐブリッジの役割をしたい」という会見の言葉通りの道を歩むなら、いさぎよい幕切れを選んだベテランは温かい拍手を浴びて舞台を去ることになる。

 だが、来季までに他球団からオファーがあった場合、ヤンキースの用意したポジションを破棄して現役復帰するようなら、周囲から再び「利己主義」と見られる可能性もある。少なくともヤンキースファンからいい反応はなさそうだ。

 どのような選手として記憶に残りたいかと、会見で聞かれたロドリゲスは「これまで多くの過ちを犯してきたが、何度倒れてもはい上がってきた」と答えた。一時は修復不可能と見られた球団とファンとの関係は昨季の活躍で驚くほど良好なものになった。そのイメージを守りきれるかは今後の決断次第だが、A・ロッドを取り巻くドラマの続編があったとしても驚きはないだろう。

【了】

伊武弘多●文 text by kouta Ibu

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