【U-18アジア選手権】インドネシア代表が0-35の大敗で得た収穫 高校時代の恩師・小枝監督の教え

優秀な選手は国体の出場準備で招集できず

 インドネシアでは、9月中旬に州対抗の国体が開催される。野球も競技種目の1つに入っており、30歳以下の選手に参加資格があるため、U-18カテゴリーの優秀な選手は国体準備に借り出されてしまったそうだ。国体で優勝すると州に報奨金が出るという政治的な事情が背景にあるため、国際大会という名誉はあるが報奨金が出ないアジア選手権に向けて、国も野球連盟も積極的な強化に取り組まなかったという。代表チームのユニフォームを着たのは、3月に行われた州対抗大会で優勝した西ジャワ州を中心に、2位、3位チームから選手を補填した即席チームとなった。

 そんな事情は知る由もなかっただろうが、実力差があるのは小枝監督にとっても想定内。それでも、“恩師”は前日の台湾戦から1つも手を緩めず、1回にはダブルスチールを仕掛ける正攻法でインドネシアと勝負した。それに対して、インドネシアの選手たちも、最初から劣勢だったにもかかわらず、大きな声を張り上げながら、互いに鼓舞しながら、体格差のある日本選手にスライディングで吹き飛ばされても立ち上がり、エラーをしても懸命にボールを追いかけ、食らいついた。

 この日、ホームランを打った入江大生(作新学院)は、そんなインドネシア選手の姿に刺激を受けた1人だ。「野球の技術は高くないかもしれないけど、一生懸命プレーする姿に、忘れかけていたものを思い出させてもらった。どんな場合でも、奢ったりしてはいけないと思いました」と、試合終了まで戦い抜いた敵の奮闘ぶりに目を丸くさせた。

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