【U-18アジア選手権】アジアの頂点へ盤石な投手陣形成 指揮官が求めた東邦・藤嶋の復調
外野手起用がメイン構想も「ずっと投げたいなと思っていた」と5回パーフェクト
第11回BFA U-18アジア選手権を戦う日本代表はファーストラウンドを戦い終え、3連勝で1位突破を決めた。初戦は左腕の寺島成輝(履正社)、2戦目は今井達也(作新学院)と日本代表が誇る左右の軸が先発した。インドネシア戦では当初、先発ローテに名前のなかった藤嶋健人(東邦)がマウンドに。格下相手でも手を抜くことなく、5回無安打無失点10奪三振。5回参考ながら、自身”初”となるパーフェクト投球を披露した。
戦いを進めながら、小枝守監督ら首脳陣はローテーションを組んできた。藤嶋は甲子園後からコンディションが上がらず、今回は投手よりも外野手としての起用がメインと考えられていた。しかし、何が起こるからわからないのが国際大会。潤沢な投手陣を抱えるが、藤嶋の力のあるボールも魅力だった。指揮官は第2戦の終盤に、ベンチスタートになっていた藤嶋に対してブルペンで投球練習するように命じた。藤嶋は「ずっと投げたいなと思っていたんです。アピールをしていたわけではないですけど、ブルペン良かったら先発をさせてもらえると聞いたので、ワクワクしながら投げました」と気持ちの入ったボールを投げ込んだ。
このブルペン投球が首脳陣の目に留まり、藤嶋は翌日のインドネシア戦の先発を言い渡された。意気に感じた右腕にとって、相手がインドネシアだろうがどこだろうが関係はない。「久しぶりにマウンドで上がらせてもらえるチャンスもらった。責任を持ちつつ、楽しみながら、思い切っていくというスタイルでいきました」とマウンド上では笑顔が弾け、躍動感もあった。与えられた役割をこなし、自分のペースでどんどんボールを投げ込んだ。
投げたい――。藤嶋の気持ちを知っていた小枝監督は、野手の構想を持ちながらも、国内合宿の時から状態を探りつつタイミングを模索していたという。「従来の彼の姿に戻りつつありますね。調子が今ひとつ戻って来ないかなと心配していたけど。今日の投球はいい弾みになった」と喜び、さらに投手陣に厚みを増すことに成功した。うまく選手の気持ちを見定め、選手もその期待に応えた。大きな点差で収穫を見いだすのは難しい一戦ではあったが、アジアの頂点を目指す中、藤嶋の復調がチームに大きな自信を与えた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count