【U-18アジア選手権】韓国戦の逆転劇生んだ全力疾走 野手心理を突く“打点王”の絶妙走塁
「全力疾走とかは、野球を始めたばっかりの子でも、誰でも絶対できること」
全力疾走で逆転劇をつないだ林中は、今大会では「小学校3年生以来」という一塁を守るが、本来は遊撃手。「僕もショートをやっているので、ボールを取って、ランナーを見た時に全力で走ってたら、やっぱり焦りますし、暴投にもなったりする」と、遊撃手の心理を絶妙に突く走りを見せた。
代表を率いる小枝監督や大藤コーチの教えも生きている。「僕たちもフライを上げて全力で走らなかったこともあった。全力疾走とかは、野球を始めたばっかりの子でも、誰でも絶対できること。そういう基本をしっかりしようっていうことを、小枝監督、大藤コーチが強く言っておられました」と、基礎の基礎を意識。小さなプレーをおろそかにしない姿勢が生きた。
試合後、小枝監督は4回に出た韓国の失策を振り返り、「あれを引っ張り出したのは、打者走者の全力疾走だったと思います」と、満面の笑みで林中の走塁を褒めた。日本を出る時、指揮官は「どこの国よりどこの学校より、できることは(手を抜かずに)しっかりやる、日本らしいプレーをしよう」と選手に声を掛け続けたが、その言葉は選手にしっかり伝わっている。
4日に開催国・台湾と戦う決勝戦も、基礎を大切にする意識は変わらない。
「先頭が出て、送ったり走ったり、小さいことでつなぐプレー。僕たちらしい野球ができたら負けることはないと思う。ピッチャー陣は何枚もすごい投手がいますから。野手も大きいの(長打)を狙うんじゃなくて、1番から9番まですごい打者が揃う打線なんで、線でつなぐ打線にしていけばいいと思います」
今大会11打点と大活躍の林中。「中高でも、大事なところで大事な野球をする、ということを教わってきた。派手な野球はできないんです。(敦賀)気比のかたまりです(笑)」と照れくさそうに、でも誇らしげに笑った日本の“打点王”は、決勝の舞台でも地道なプレーで勝利を狙う。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count