地域を大切にするNPO法人とプロ野球球団がタッグを組むべき理由

事前申込みだけで800枚超のチケットを販売

 4月には山崎選手の父が役員を務める伊丹市軟式少年野球連盟にまずは協力を求め、続いて公益財団法人伊丹スポーツセンターにも協力を依頼した。より多くの市民に京セラドーム大阪へ足を運んでもらうために、少年野球大会や伊丹市花火大会がない日を選択するなど日程の調整には丁寧に取り組んだ。この段階で400人超の参加者を確保。5月には伊丹市を拠点にダンススクールを展開するjackpotダンススタジオのキッズ120人が参加する話もまとまった。

 日頃は最大でも数百人の会場で成果を披露するダンサーたちにとってもその何倍もの規模でパフォーマンスをすることは絶好の機会である。そして球団にとっても、来場される親御さんが購入するチケットがそのまま売り上げへとつながることとなる。

 ここまで整えたうえで、市の観光戦略課にも正式に連携を持ち掛けた。市へ依頼した理由の一つとしては、広報誌で伊丹市民応援デーについて告知掲載してもらうことだった。それは最初の球団担当者との打合せ段階で出された、唯一の条件といえるものだったのだ。

 ここまでの取り組みでスポンサーや活動資金を探すことに労力を使わずに、事前申込みだけで806枚のチケットが販売された。当日販売も行っており、伊丹市民価格でチケットを購入する人たちも多く見られた。同日に甲子園で高校野球の決勝が行われているなど、条件が揃っているとは言い難い日にこれだけのチケットが売れたのは、オリックスにとってはうれしい誤算だったかもしれない。だが伊丹アスリートクラブにとっては、これまで培ってきた地域スポーツや行政とのネットワークを考えれば予想通りの結果であったと言える。

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