合わせて86歳の「長寿対決」 イチローとコロンに見る共通点は?

特別な空気が漂う両者の対決、年齢の「足し算」は来年も継続されるか

 50歳まで現役続行を希望するイチローに対し、コロンも来季以降の現役続行に意欲を示す。一つの目標としてドミニカ共和国出身メジャーリーガーの最多勝(243勝)という節目の数字がある。「これをクリアできれば辞めても満足」と話す。その先には中南米系メジャーリーガー最多勝(245勝)が迫っている。イチローにとっての日米通算安打でのピート・ローズ超えと大リーグ3000安打がそうだったように、目の前にある節目の数字がモチベーションになっている。

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メッツのバートロ・コロン【写真:Getty Images】

 そしてまた、メッツという球団の居心地の良さも現役を続ける上で重要なファクターとなっているようだ。昨季終了後にフリーエージェントとなった右腕は、メッツと1年の再契約を結んだ。この時点でチームの先発枠がほぼ固まっていたが、あくまで中継ぎ兼6番目の先発投手という役割を引き受けてまで残留を決めた。イチロー同様にチームメートから愛されている右腕は「最高のチームメートともう一度ワールドシリーズを目指したい」という希望があったから。節目の記録とプレーする環境面を励みにする姿勢は、両者に共通した点と言える。

 イチローもコロンも、お互いのことを多く語らないが、マウンドで対峙すれば特別な空気が漂う。約1年ぶりの対決では、イチローが第1打席で140キロのツーシームを右前に鋭くはじき返した。その後の第2打席は三飛、第3打席は一飛に倒れ、3打数1安打。ここまでのところ、両者ともに来季も契約を勝ち取るだけの成績を残している。2人の対決はどこまで続いていくのか。年齢の「足し算」が来年も継続されることを願うばかりだ。

【了】

伊武弘多●文 text by kouta Ibu

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