イチローと敵コーチの心温まる交流 「3000」と書かれた「バットスタンド」
3000安打の金字塔を「私のやり方でお祝いしたかった」
2001年に大型契約を結んで入団し、大きな注目を集めていた新人イチローにとって、マクラーレン・コーチは良き理解者だった。マリナーズを退団後も家族ぐるみの付き合いがあるそうで、「マリナーズでは毎日彼の打撃練習の相手を務め、色んなことを話した。ジョークを言って笑ったり、とても良好な関係だったと思っている。心から尊敬しているし、特別な関係は今でも変わらない」と話す。
ナショナルズでコーチを務めていた2010年-11年にも、マリナーズに在籍していたイチローが遠征で来た際、同様に「バットスタンド」をつくって「出迎えた」という。「今回は3000安打という素晴らしい数字に到達したことを私のやり方でお祝いしたかった」と茶目っ気たっぷりに笑った。
イチローを見たときの衝撃は、今でも記憶に鮮明に残っている。「彼を初めて見たのは1999年に招待選手としてマリナーズの春季キャンプに来たときだ。その頃から野球への情熱、試合に準備する姿勢は変わっていない。変わったとすれば、白髪が増えたことくらいかな」。42歳になっても走攻守で高いレベルを保つイチローを、64歳のマクラーレン・コーチはこれからも優しく見守っていく。
【了】
伊武弘多●文 text by Kouta Ibu