イチローと敵コーチの心温まる交流 「3000」と書かれた「バットスタンド」

思い出の地で二人だけの“会話”、 「特別な関係は今でも変わらない」

 フィラデルフィアは、マーリンズのイチロー外野手にとって思い出のある場所だ。昨季のレギュラーシーズン最終戦に投手として「初登板」したのが、フィリーズの本拠地があるフィラデルフィアだった。そして今年9月16日、フィリーズとのナイトゲーム前にも心温まる交流があった。

 フィリーズのマクラーレン捕手コーチが全体練習前に、マーリンズのベンチにイチロー専用の「バットスタンド」をつくっていた。ベンチに2本の木の棒(アイス棒のような形状)を白色のテーピングテープでくっつけたもので、テープには「3000」と書かれていた。これを見たイチローは嬉しそうに笑って、練習中に漆黒のバットをそっとたてかけた。グラウンドで言葉を交わす機会はなかったが、二人だけの会話がそこにあった。

 マクラーレン・コーチはイチローがマリナーズに入団した1年目の2001年にベンチコーチを務めていた。その頃、イチローが練習中にバットをベンチにたてかけていると、すぐに倒れてしまっていたことから、同コーチがお手製のバット立てを作成していたという経緯がある。毎日違う名前が書かれていたそうで「ミッキー・マントル、テッド・ウイリアムズら殿堂入りした往年の名選手の名前を書き、彼らについてイチローに説明していた」と、同コーチは懐かしそうに話す。

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