4か国9球団を渡り歩いた男 元甲子園V左腕が今も駆られる思いとは
山本昌から学んだこと、「自分が何歳まで続けたいか…」
50歳まで現役を続けた山本昌とは、毎年オフになると鳥取にあるワールドウィングで一緒にトレーニングをした。「毎年1月に一緒に自主トレをさせていただいた。刺激は大きかったですね。野球に対する姿勢もそうだし、体のケアに関しても、すごく勉強になることばかり。自分が何歳まで現役を続けたいか? う~ん、50歳の人を見てますからね……(笑)」。
あちらこちらを渡り歩き、気が付いたらプロ17年目のベテランになっていた。だが、今でも毎日が新しい発見の連続だ。例えば、愛媛でプレーし始めてから新球を解禁した。昨年はフォークを習得し、今年はカットボールを投げている。投手として、まだまだ歩みを止めるつもりはないが、指導者になることに漠然とした興味も抱き始めているという。
「こういう独立リーグで若い子とプレーしたり、自然と教えたり聞いたりっていうやりとりをしていると、漠然とですけど(指導者にも)興味を持ち始めたというのは正直ある。いろいろな経験をさせてもらいましたから(笑)。他人より若い子らより経験が多い分、伝えられるものは惜しまず出しますし、せっかく長くやってきましたから、何か伝えられるものはあるんじゃないかと思う。伝え方1つとっても、自分だったらこう伝えたいなって考える時もありますね」
いくら流浪の野球人生を送っていても、毎年秋になると翌年の去就が決まらず、落ち着かない思いに駆られることがある。それでも変わらないのは「野球を続けたい」という思いだ。国内であれ海外であれ、プロであれ独立リーグであれ、「声が掛かれば、それはありがたいことです。それも縁ですからね」と、野球愛を引っさげて我が身一つで馳せ参じるつもりだ。
矛盾して聞こえるかもしれないが、野球に関する落ち着かない思いを忘れられる唯一の方法は、野球をプレーすることだという。四国アイランドリーグplusで完全優勝した愛媛は、10月1日からBCリーグ総合優勝チームとグランドチャンピオンシップを戦う。目指すは独立リーグ日本一。たまらない緊張感、真剣勝負の中で全力を出し尽くした時、そこに自ずと道は開けてくるのかもしれない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count