もう1度だけ真剣に…きっかけはテレビで見た甲子園 NPB目指す152キロ右腕

甲子園でプレーする同学年の高校球児、「もう1回野球をやりたいな…」

 だが、骨折した患部が癒えるのに合わせ、野球に対する拒否反応も薄れ始めた。そして怪我がすっかり治った18歳の夏、甲子園で汗だくになり泥まみれになる同い年の球児の姿をテレビで見た時、心の中で何かが揺れた。

「もう1回野球をやりたいなって思いました。もう1回だけ真剣にやろうって」

 実際に行動に移したのは、高校卒業後だった。怪我をしてから1年半余りが過ぎていた。

「高校野球を途中で辞めちゃったから、そこから高校を終える年月分、1年半から実質2年ですか、その年月はしっかり野球をやりきりたいなって。自分がどこまでできるか、もう1回挑戦してみたいなって思いました」

 2013年、決意を新たに飛び込んだのが、関西独立リーグ「BASEBALL FIRST LEAGUE」の「06 BULLS」だ。高校時代はアルバイトに精を出しながらも、少しは体を動かしていたかと思いきや、「まったく何もしてなかったです」。約2年ぶりに動かした体は想像以上の衰えぶりで「もうすごかったです、走れなくて(笑)。なめてましたね」と、当時の衝撃を振り返る。ボールを握っても、キャッチボールをしても、体はまったく感覚を覚えていなかった。

「まったくです。最初から作り直し。真っ直ぐは130キロも出ない。あぁ……っと思いましたね」

 再スタートでつまずきそうになった福永を引き上げてくれたのが、当時、「06 BULLS」のチームメイトだった韓国人投手・洪成溶だった。現在、韓国プロ野球のKTウィズで中継ぎを務める洪は、入団当時から福永に目を掛けてくれたという。

「よく面倒を見てくれたんです。絶対に上に行けるから頑張れって」

RECOMMEND