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もう1度だけ真剣に…きっかけはテレビで見た甲子園 NPB目指す152キロ右腕

昨年ドラフトでは指名されず…「あれだけきっついことはない」

 投球スタイルにも変化が生まれた。「一杯一杯でした(笑)」と振り返る昨季は、スピードや三振にこだわり過ぎたため、全球が全力投球だった。同時に「全力で1球1球投げていかなければ打たれると思っていた」という。だが、冬場のトレーニングのおかげで体力アップに成功した今季は「平均球速がグッと上がったから、余裕を持ってバッターと対戦できることができた」という。

「1試合を通して抑えられればいい。ポイントポイントでしっかり抑えられれば大丈夫。多少力が残った状態で登板を終えられたので、心にもゆとりを持って投げられました」

 その結果、今季は15試合に先発し、6勝6敗、防御率1.38、5試合で完投している。97回2/3を投げて81奪三振。2年目に見せた大躍進に、徳島を率いる中島輝士監督は「ピッチングが大人になったね」と評価する。

 今年、ここまで頑張れたのは、1年前の悔しさがあるからだ。

「今年自分がここまでしっかりやれているのは、やっぱり去年(ドラフトに)掛からんかったからだと思います。悔しかったです。特に、冬の3、4か月をしっかり頑張れたのは、指名されなかったから。(ドラフト会議の当日)球団事務所でみんなで待っていて、掛かった人と掛からんかった人との温度差っていうのは……。いや、もう体験したくないですね。あれだけきっついことはない。やっぱり指名された人を自分も喜んで上げたいけど、悔しい部分が大きすぎて……。その経験が今年は生きているのかなって」

 アルバイトに明け暮れた日々の中で、1度はプロ野球選手という目標を捨てた。だが、4年の年月を経て、目標にあと一歩のところまでたどり着いた。「ここまで自分の名前が挙がっているのはうれしいこと。辞めずによかったなって思います」と、晴れやかな笑顔を浮かべる。

 テレビで見掛けた同い年の高校球児の姿が、すべてを変えた。もしあの時、甲子園の熱戦を見ていなければ、今はまったく違った人生を歩んでいたかもしれない。1度は諦めた野球も、今は「好きです」と胸を張って言える。

 今年のドラフト会議は10月20日。悔しい思いをバネに、この1年間やれることはすべてやった。あとは知らせが届くのを待つだけだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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