香川を率いて10年、約20人をNPBへ輩出 元広島4番が魅せられた独立Lの意義
NPB復帰の話も四国ILにとどまった西田、「アイランドリーグに出会えていなかったら…」
「プロに行きたくても、まだそのレベルにない選手。大学に行きたくても行けない選手。独立リーグは、そういう選手にとって助け船みたいな場所。アイランドリーグは試合数も多いし、連戦もあるし、北米遠征でアメリカにも行くし、フェニックスリーグにも参加する。プロを目指す選手にとって、物差しになるわけですよ。
今年は、高卒の選手が3人入った。普通なら大学1年ですよ。大学に進学したら1年から試合には出られないわけで、独立リーグにはそういうメリットもある。ここで自主性を持って考えながら野球をやって、2~3年経った時、大学3年か4年くらいの年齢でプロに行ければ一番いい」
香川で指揮を執る10年の間、指導者としてNPBに復帰しないか、という誘いもあったという。野球人として、もちろん魅力的な話だ。だが、西田は「やり甲斐をもらっている」という独立リーグにとどまることにした。グラウンドで選手を率いるだけではなく、球団職員とコミュニケーションを取りながら球団経営にも関わる日々。「独立リーグの経営は、ハッキリ言うと儲からない」というが、選手、球団職員、スポンサー、ファンらと身近に接する中で、それまで見えていなかったことが見えてきた。
「野球人である前に社会人であるべき。私も現役時代はちょっとワガママなところがあったんですよ。だから、このアイランドリーグに出会えていなかったら、自分自身どうなっていたか分からない。ここにいると元気をもらえるっていうかな。ここで一旗揚げて、NPBに行きたいっていう選手がいて、それをサポートしたいという人がいる。
NPBと比べたら数少ないファンですよ。それでも数百人の熱狂的なファンが応援してくれる。球団を存続させるためにスポンサーになってくださった皆さんも応援してくれる。これを1年目の選手に言っても、試合をするのが精一杯だから、トンチンカンで分からない。1年経ち、2年経ち、自分で考えて学んで、人に支えられているっていうことが分かる。支えてくれる方々のためにも、勝つこと、優勝することは大事なんですよ」