GMに全権託す時代は終わった? メジャーで増える“翻訳泣かせ”の役職とは
カブス&ドジャースはフロント陣もオールスターと呼べるような陣容に
近年の動きとしてはこのプレジデント・オブ・ベースボール・オペレーションズという役職がトップに立ち、その下に自らが信頼する右腕をGMとして雇うケースが増えている。現在シカゴ・カブスに在籍するセオ・エプスタイン氏もGMにはレッドソックス時代にもともにチームを強くしたジェド・ホイヤー氏を迎え入れた。さらには選手育成やスカウティングの責任者にもレッドソックスで一緒だったジェイソン・マクラウド氏を起用した。エプスタイン氏はプレーオフ中にシカゴ・カブスと5年契約の延長に合意し、その際にはともにカブスの躍進を支えている2人にも契約延長が与えられた模様だ。
こういった背景にはグラウンドで結果を求められる選手、監督、コーチ陣たちと同様にチーム編成に携わるスタッフの重要性が浸透していることが理解できる。このシカゴ・カブス同様にロサンゼルス・ドジャースは豊富な資金力で選手たちを獲得するだけでなく、フロント陣もオールスターと呼べるような陣容を備えた。
エクゼクティブ・バイス・プレジデントという役職として野球運営のトップにタンパベイ・レイズからアンドリュー・フリードマン氏を招聘し、GMにはオークランド・アスレチックスでビリー・ビーン氏の下で働いていたファーハン・ザイディ氏を据えた。それ以外にも他球団でGM職を経験しているスタッフを何人か加え、選手だけでなくフロントの人材も多く獲得。これは一例に過ぎないが、この2チームはプレーオフで勝ち残っており、ナショナルリーグチャンピオンシップシリーズで対戦している。グラウンド上だけでなく、チーム編成や分析に長けたフロント同士のブレインの対決にも注目だ。
さらにはアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズで対戦しているトロント・ブルージェイズとクリーブランド・インディアンスのフロント対決も面白い。現在ブルージェイズのプレジデント兼CEOの役職に就いているマーク・シャペイロ氏とロス・アトキンズGMは元々クリーブランド・インディアンスでタッグを組んでいた。私が野球界でのキャリアをスタート(インディアンスでの広報インターン)させた当時は、彼らがチームを率いていた。だが今はブルージェイズに活躍の場を移し、いわばインディアンスのフロント陣とは師弟対決となる。