田中に5球団、特A評価が外れ1位…各球団の思惑交錯、ドラフトを振り返る
佐々木がまさかの外れ1位、交渉権獲得のロッテは満点に近いドラフトに
田中正義(創価大)を巡って各球団が牽制し合う余りに、同じ特A評価の佐々木千隼(桜美林大)が、あろうことか外れ1位の異常事態となった今年のプロ野球ドラフト会議。5球団の再抽選では、山室球団社長の強運で佐々木を引き当てたロッテは、当初から田中の1位指名を公表していたが、伊東監督は「(1位指名は)佐々木の方が多いと思っていた」と明かした。
田中はMAX156キロの速球がピカイチだが、春先に肩を故障し、夏場には太ももの肉離れを負っていた。涌井、石川に続く先発投手が薄いロッテは、5球団競合のくじに外れたのが逆に幸いしたと言えるかもしれない。2位にA評価の大阪ガス・酒居知史投手、3位には地元・東海大市原望洋高の島孝明投手と将来性と人気を見据えた選手を指名し、6位までが投手。7位に亜大の宗接唯人捕手を抑えて、レギュラーの田村龍弘との競争を図るなど、ほぼ満点に近いドラフトと言える。
最初の抽選は外したとはいえ、ロッテはくじ運に恵まれている。今回は、石川歩、平沢大河を引き当てた“ゴットハンド”の伊東監督ではなかったが、2008年以降の現行制度で、パの勝ち越しはロッテと西武だけ。再抽選を含めると、ロッテはこれで6勝3敗と素晴らしい成績を残している。
また、工藤監督が5球団競合の末に田中の交渉権を引き当てたソフトバンクは、4巡目で真っ先に指名終了となった。最速154キロの高校生左腕・古谷優人(江陵高)を2位指名。3位で高校生ナンバーワン捕手の九鬼隆平捕手(秀岳館高)、4位で三森大貴内野手(青森山田高)を指名した。即戦力と将来性。質、量とも12球団一の戦力を誇るからこそのドラフトとなった。