仲間の励ましに溢れ出た涙 ドラフト指名漏れの桃太郎が「2年後」へ再出発
部屋に戻り溢れ出た涙、「自分のことでチームに迷惑はかけられない」
「ウルっときました。落ち込んでいる中、温かい言葉をかけてくれた。部屋に帰って、涙が出てきました」
人前では堪えていた感情が、部屋に戻ると溢れ出た。指名されなかった悔しさ以上に仲間の温かさや気遣いに胸を打たれ、布団を濡らした。そして、みんなを神宮の舞台に連れて行くと誓った。
「負けられない戦いが始まっている。自分のことでチームに迷惑はかけられない。クヨクヨしていても仕方がない」
気持ちを切り替え、この日、2死から先制点につながる安打を放ってチームを救った。
チームへの献身を見せながらも、次への“戦い”は始まっている。卒業後はホンダ鈴鹿でプレーする予定で、「(アピールは)今日から始まっているので、新たなスタートだと思った。2年後に指名されるようにやるしかない」と前を向く。
明治神宮野球大会への出場枠は1つ。決勝の相手は、阪神から2位指名を受けた小野泰己投手を擁する富士大だ。「明日、勝たないと先はない。4年生や監督さんのためにも神宮に行きたい」。大きく成長させてくれたチームのために、桃太郎が力の限りを尽くす。
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高橋昌江●文 text by Masae Takahashi