【U-23W杯】20歳の誕生日に直面した試練…侍ジャパンのエース安樂に見えた課題
試合前にはチーム全員からサプライズで誕生日を祝ってもらうも…
斎藤雅樹監督は、先頭打者を出塁させることが多かった右腕について「その辺は反省すべき点でしょうけど、でもゲッツーを取ったりしている。打たせて取る粘りのピッチングができていた」と決して責めることはなく、8回を104球で投げきった安樂を評価しているが、安樂の反省の弁はまだまだ続く。
「ここの球場は長打も出ますし、相手も(力のある)パナマ。真ん中高めの真っ直ぐやスライダーだと、どうしてもホームランになってしまうと思うので、簡単に長打を許さないようにって慎重になりすぎた部分がある。もっともっと真っ直ぐでファウルが取れたらよかったんでしょうけど、そういう風なボールが、今日はなかった。自分で自分を苦しめていた部分はあると思います」
奇しくもこの日は20歳の誕生日だった。楽天のチームメイトでU-23代表にも選ばれた吉持亮汰も同じ誕生日(23歳)で、球場に向かう前にはチーム全員からサプライズで誕生日を祝ってもらっていた。祝福してもらった感謝の気持ちを示すためにも、20歳という節目の年齢を迎えた日に先発するという巡り合わせに感謝するためにも、やはり勝利にはこだわりたかったようだ。
確かに、両手を挙げて笑顔で勝利を喜ぶことはできなかったが、今後の野球人生を考えた時、国際大会で投げるという貴重な体験を通じて見えた課題は、かけがえのない宝物になる可能性がある。かわいい子には旅をさせよ、とはいうが、野球の神様はさらなる成長を期待するからこそ、少し酷な形で克服すべき課題や進むべき道を示してくれたのかもしれない。今後、この経験をどうに生かすか。そこでこそ、安樂の真価が試されるのだろう。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count