苦戦したメキシコで見つけた突破口 U-23W杯でヤクルト廣岡が見せた成長
「唯一貢献できた」メキシコ戦、渾身の一振りが日本に突破口を開く
「チームに貢献っていうよりは、ずっと足を引っ張ってばかりだったんで…」と申し訳なさそうに肩をすぼめる廣岡が「唯一貢献できたかも」と話したのが、スーパーラウンド第3戦メキシコ戦の第2打席だった。
前日1敗を喫した日本は、この試合に勝たなければ、直接対決や得失点差で決勝には進めなかった。メキシコに出発前に掲げた目標は「全勝優勝」だったが、パナマ戦での黒星を受けて「優勝」に軌道修正。前身大会「21U W杯」で残した準優勝に最低でも並ぶためにも、どうしても勝たなければならなかった。だが、試合が始まると両軍投手が好投し、打線はなかなか得点機を見出せない。そんな中、まず廣岡は守備で見せ場を作った。
両軍無得点の2回1死一塁、ライトに抜けそうな鋭い打球を捕球すると、一塁ベースを踏んで二塁に転送、併殺を完成させた。試合前の練習では相当数のノックを受け、試合中の守備位置は、故障で出場を見合わせていた一塁手・丸子達也(JR東日本)の合図に頼り、なんとか急ごしらえした一塁守備が要所で締まった。もし、ここで打球が抜けてメキシコが先制していたら、試合の展開は大きく変わっていただろう。
打席は絶好機で回ってきた。0-0の5回裏、先頭の三好匠(楽天)が四球で出塁、吉持亮汰(楽天)が一塁後ろに落ちる安打で続くと、柿沼友哉(ロッテ)の犠打で1死二、三塁の先制チャンス。ここで打席に立った廣岡は、追い込まれてからの外角球を豪快に振った。鋭い打球は三塁手を強襲して失策を誘い、走者2人が生還。日本は窮地で先制に成功した。
「二、三塁の場面で打席が回ってきて、何としてでも、相手のエラーでもいいから点が欲しかった。あの試合に負けたら3位(決定戦行き)やったやないですか。そこでどんな形であれ、点を取れたっていうことが、唯一貢献できたかもって思います」
何が何でも、どんな形でも…。なりふり構わぬ渾身の一振りが、日本にとって、そして廣岡自身にとっての突破口を開いた。