苦戦したメキシコで見つけた突破口 U-23W杯でヤクルト廣岡が見せた成長

斎藤監督「高校を出て1年目でしょ。…大したもんだなって思います」

 オーストラリアとの決勝戦では、第3打席に特大3ランを左中間席へたたき込んだ。「点差もあったし、最後の試合なんで思い切っていこうと思いました」と振り返る、これまでの鬱憤を晴らすような大きなアーチが飛び出すと、ベンチやブルペンにいたチーム全員が我が事のように大喜び。智辯学園の先輩でU-23メンバーでもあった青山大紀(オリックス)は、優勝後にツイッター上で「調子が悪い中大志がホームランを打ってちょっと泣いてしまうぐらい嬉しかったです!」と明かしたが、国際大会で大きな壁にぶち当たった19歳の苦悩をチーム全員が感じ取っていたのだろう。

 決勝戦が始まる前、今大会で驚きの働きをした選手は誰か、斎藤監督に聞いてみた。指揮官の答えは「大体思っていた通りの働きをしてくれたんだけど…強いて言えば、廣岡かな」。特大3ランを打つ何時間も前の話だ。

「ファーストをやったことがなかったんだけど、丸子と2人でやらせてみようと使ってみた。最初はそれなりに打ったしね。最後はちょっとあれだったけど(笑)。でも、高校を出て1年目でしょ。そう考えれば、慣れないポジションで全戦先発したのは大したもんだなって思います」

 プロ生活はまだ始まったばかり。1軍に定着し、チームはもちろん日本を代表する選手まで成長する過程で、何度も壁にぶち当たることだろう。だが、そのたびに、メキシコでの渾身のプレーで突破口を切り拓いた経験が、打開策を見つけるヒントを与えてくれるに違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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